2024年から始まったお米の価格高騰は異常で、5kgのお米が2000円前後で買えたものが、短期間に倍以上の値段に跳ね上がりました。
この価格高騰の理由を様々なメディアが取り上げていますが、原因は何であれ、2025年現在、日本の一般家庭を直撃する負担に解決策はまだ見えないようです。
そんな中、海外のお米の需要が上がっているそうです。日本のお米は守られているため、輸入米には高い関税がかけられます。しかし、高い関税を支払っても、ビジネスになるほど日本のコメ価格が上昇しています。

アメリカ・台湾・ベトナムなどからお米を輸入する会社が増えているとの報道があります。その輸入米の多くは、お米を大量に必要とする飲食店に行くそうです。
コストコでは「カリフォルニア産米・カルローズ」、西友では「台湾産米・むすびの郷」というように、消費者向けにも輸入米が売られて、価格の安さもあって人気が増しています。
アメリカのカルローズは日系人が長年携わってきたお米で、台湾やベトナムではジャポニカ米が作られていて日本人にあったお米になってきているようです。
以前、アメリカに住んでいたことがありますが、お米に困ったことはありません。というのも、日本と変わらないお米が食べられたからです。
アメリカでは、複数の州でお米が作られています。代表的なところは、アーカンソー州、カリフォルニア州、テキサス州など南部の州があります。 タイ米で知られるロンググレインライスを作っている地域も多く、日本人に合うお米を作っているのはカリフォルニア州が主なようです。
カルフォルニア米は、日本のブランド米と比べたら多少味は落ちるかもしれませんが、その分安いですし、おかず次第で満足に食べられました。アメリカではお寿司用のお米に使われるようになってきて評価は高いです。
アメリカ産米は、日本のようにお米だけで食べる、たとえば、おむすびには向かないかもしれませんが、そのお米にあった食べ方をすればおいしく頂けると思います。
アメリカでは20~30年前に比べたら米作りの技術がどんどん上がっていて、日本への輸出用や日本食の需要に合わせて、コシヒカリなどを育てている大規模農家さんも増えているそうです。利権や天下り絡みの減反政策などで、お米農家さんがどんどん減っている日本とは雲泥の差ではないでしょうか。
アメリカでのお米の収穫動画を下に掲載しました。ここまで規模が大きいと壮観ではないですか?大規模に見えても、大豆やトウモロコシがメジャーなアメリカでは、お米の収穫量は他の穀物からしたら全然少ないというのですから、どれだけ農業が盛んか分かります。
南ルイジアナ州のお米収穫の動画:
日本に帰ってくれば、日本のお米はうまい!となりますが、日々の食事で特別こだわりがなければ、輸入米でも全然大丈夫という方は多いのではないでしょうか。
前出の通り、日本のレストランや飲食チェーン店などでは、輸入米を結構使っていて、日本米と輸入米がブレンドされたご飯が使われていると、輸入米と気が付かずに食していることもあると思います。
近年、海外ではお米作りの先進国である日本からよく学んでいるそうですし、実際に日本人が現地で指導していることも多く、どんどん味がよくなっているのではないかと思います。
特に台湾では、日本の技術者や農業指導者が台湾での米作りを支援してきた歴史があります。日本人が食べても違和感は少ないと思います。年に2~3回米を作る地域もあって、アジアやアメリカへの輸出も活発です。
台湾でのお米作りの様子の動画です↓日本と似た光景がありますね。
正直、ここまで日本のお米が異常に値上がりしてくると、海外のお米がもう少し増えてもいいのでは?と思います。
有事に備えて、食の自給率は上げなければいけないとは言われますが、日々の生活に困るほどお米が高い、お米が足りない、ということであれば仕方ないと言えるレベルにきているかもしれません。
食料の自給を語る前に、石油やガスが輸入できなくなれば、備蓄はあっても、いずれ電力が足りなくなり、燃料が少なくなれば生産も流通も滞ってしまうと思います。
一時期、中国産食品の輸入が激減して、飲食チェーン店で多くのメニューの提供を止めたことがありました。すでに食料品の多くは輸入品で賄われている現実があります。特にファミレスやお弁当屋さんで、安くて美味しいというのは、輸入食品頼みであることも珍しくないです。
時々、業務スーパーに行きますが、飲食店関係の人が何人も買い出しに来ています。枝豆、ジャガイモ、インゲン、ブロッコリーなど冷凍野菜を大量に買っていくのを見かけます。それらのほとんどは中国産です。
輸入品で溢れている日本で、お米だけ輸入が少ないというのも段々不自然な時代になってくるかもしれません。
日本の農家さんたちは、原料や燃料代が上がっている昨今、お米の価格の上昇に喜んでいる方もいますが、余りに価格が高騰すると消費者のコメ離れが起こって、逆効果だという方もいます。
備蓄米の放出で価格が下がるといった政府の考えがありますが、多くの識者は一時的に価格が少し下がるくらいにしか認識していないようです。
様々な理由でお米が足りていないことが、価格高騰につながっているとするなら、急に国内でのお米を増やすことはできませんから、輸入米に頼るということも必要になるのかもしれません。
ただし、現実には様々制限があって、自由に好きなだけ海外からお米が輸入できないそうです。
1994年に「平成の米騒動」という深刻な米不足が発生しました。1993年は記録的な冷夏となり、米の収穫量が激減したために起きた事態でした。そして、日本政府はタイやアメリカなどから、緊急措置として約259万トンの米を輸入したことがあります。
今回は、お店やスーパーなどにお米は並んでいて、平成の米騒動とは状況は違うと思いますが、価格高騰により、消費者がお米を買えなくなってきていることは事実でしょう。
備蓄米の放出で価格が下がればいいですが、そうでなければ、緊急措置として輸入米が増えてもいいのではないかと思います。
お米の輸入に関連して思い出されるのが、牛肉の輸入自由化です。1991年から牛肉の輸入が自由化され、アメリカ産などの牛肉が安く買えるようになりました。
輸入自由化で日本の畜産業は壊滅すると言われていましたが、牛肉は、和牛として評価が上がり高額で取引されたり、海外で人気が出て輸出が増え、世界的に有名になっています。
牛肉の輸入自由化によって、国内での牛肉の値段が半額くらいに下がったという資料がありました。お米の輸入が増えれば、4000~5000円で売られている5kgのお米が半額くらい(高騰する前の価格)になる可能性はないでしょうか。
牛肉輸入自由化からお米の現状を考えると、高品質なお米を作っている農家さんは和牛のように海外へ売ってどんどん儲けて、国内流通のお米は、安い輸入米と国内米から選べるようになったら一般消費者は助かると思います。
しかし、国内農業の保護や政治的な理由から、アメリカなどの外圧がない限り、輸入米が大幅に増えるのは難しいでしょう。
Youtube:カリフォルニア産カルローズ米が安くなるかも?
コストコで買い物をしていると、日本産のお米を買う人がいる一方、少し安いアメリカ産のカルローズを買っている人もたくさんいます。
早期に国内のお米の価格が安定して、おいしい日本産のお米が安心して食べられるようになることを願いたいですが、それがいつ実現するのか。
長期的に見れば、国内流通分を上回るお米を作って、どんどん輸出するくらいが理想だと思います。そして、国内でお米が足りない年は、輸出を減らして国内流通に回すことで、市場にお米が足りないことによる価格高騰は避けられるかもしれません。
しかし、急にお米の生産を増やすことは難しいですし、その中で、米の価格高騰が短期に収束しないのであれば、輸入米の期待が増してくる可能性があると思います。
前出のNHKの報道によれば、お米の輸入がすでに急増しており、外食産業では関税を払っても輸入米を活用する動きが広がっています。
国内米の価格高騰が続けば、輸入米へ消費者が流れてしまうかもしれません。20~30年前と比べて、海外のお米生産技術は上がっていて、お米の質もどんどん上がっています。また、日本人が好むジャポニカ米も大量に生産されるようになっています。
一部の農家さんが危惧しているように、価格が高騰しすぎて消費者のコメ離れ(または国内米離れ)が起こってしまうことがないように、適正な価格へ早く戻ってほしいものです。